本記事はeWeekに掲載されたものです。
DataOpsはパンにとってのイーストのように製造業に変革をもたらします。DataOpsなしにデジタル化の取り組みは組織に浸透しないでしょう。
DataOpsは近年、データに焦点をあてた企業をサポートするためのツール、プロセス、適切な組織構造に関する分野として知られるようになりました。Googleで検索してみるとさまざまな定義がみつかりますが、その中で共通しているのは、成功にはコラボレーションが重要であるという点です。
DataOpsは今すぐに購入できる製品ではありません。DataOpsは、現在製造業オペレーション全体で注目を集めている、人、プロセス、技術に基づく取り組みで、最終的にはデータ製品という新しい製品分野の確立をリードするものなのです。
Forrester社によると、データ製品は意思決定や実行のために見識を提供するソフトウェアで利用するためにデータを取り込み、提供するコンポーネントです。目標は、コンテキスト化されたデータを業務に活用して価値を創造することです。そのためにDataOpsがあります。
目標を達成するのは容易ではありません。DataOpsは当初、実際のリターンがなく負債となるだけのPRのための戦略、または財務的にリスクをともなう戦略とみなされていました。しかし、製造業の企業は今日その価値に目覚め、データを統合・連携してコンテキスト化し、適切に活用することができれば企業の持続可能な変革の基盤になると認識しています。
先進的なデータ運用が変革を実現
多くの組織がデータを活用するためのノウハウ、技術、ツールがないために変革をもたらすのに苦労しています。データが足りないというケースは少ない一方、どのようにデータを抽出、統合し、行動につながる形で活用するのかについて一般的に理解が不足しています。
この数年間のプロジェクトの経験から、データに対する恐れや誤解は変革を遅らせるだけであることを私たちは学びました。DataOpsの背景にあるアイデアは、データの専門家と分野ごとの専門家を連携させ、データの価値を明らかにすることで、チームがこのハードルをのりこえられるようにしようというものです。
DataOpsを推進する組織になるための主な障壁のひとつとして、デジタル成熟度の不足があります。デジタル成熟度が足りない企業は、長期的な目標について考えるよりも、焦点を絞ったデジタル化の取り組みによる短期的な利益を期待しがちです。このような企業はソリューションをスケールできず、早い段階でデータが価値を発揮するのを妨げてしまいます。
データ運用に目的と戦略を持ち込んだとき、つまり、チームで適切な考え方が構築され、企業全体、さらにはバリューチェーン全体でデータから価値を引き出す方法が確立されたときに、デジタル化が成熟の域に達します。
デジタル分野の得意でない人が陥る落とし穴
よかれと思ってデジタル化に取り組んだ企業が内部的なハードルに直面して、データを中心にした企業になるための戦略を取り入れるのに失敗するのはよくあることです。最もよくあるハードルのひとつが「強固に確立され壊すのが難しいサイロ」です。
企業でDataOpsが広く受け入れられる取り組みとして成功をおさめるには、単独でのスケーリングでは限界があります。すべての人がデータの利用者であるという考え方とともに、部門間でのコラボレーションが不可欠なのです。
DataOpsの成果が出るのを待つのは、特に迅速なROIの向上と安定した株主利益を求める経営陣にとっては受け入れがたいことかもしれません。しかし、デジタル化は一夜にして達成できるものではありません。短期的なアプローチがとられると、企業でDataOpsを実践しようとする取り組みは頓挫してしまうでしょう。長期的には、デジタル化を達成した競合他社に追い抜かれてしまうかもしれません。
組織でDataOpsに取り組むための3つのステップ
DataOpsに取り組むことは大きな挑戦ですが、製造業向けDataOpsには大きなチャンス待っています。IDC社は、2023年には60%の組織がデータと分析のエラーを80%削減するためにDataOpsプログラムの導入を始めると予測しています。
これは具体的な成果であり、データの多様性に対応し、より多くの価値を引き出すために他者と協力し、企業全体でデータを管理する新しい手法の導入に成功すれば実現できます。以下の3つのステップを実行して実現につなげましょう。
1. 製造業のもつデータを利用可能にする
データがサイロに分断されているかもしれません。サイロからデータを取り出しましょう。製造業向けDataOpsはデータを集約することを支援し、企業全体の複数のデータソースからデータを集め、統合プロセスを進め、誰もがひとつの場所からデータを利用可能にします。
2. データを有益なものにする
データが統合されたら、コンテキスト化し、安全な方法で利用可能にします。すべてのデータ利用者がデータにアクセスし、簡単に利用できるようにし、データの価値やどのように行動につなげればよいのか理解できるようにする必要があります。
3. データを価値のあるものにする
DataOpsを推進する組織は、企業の重要なインサイトにつながる先進的なデータモデルを適用し、意思決定に影響を与え、最終的に最大の成果を生む行動に人々を導くでしょう。
DataOpsは与え続ける能力
組織でデータが新しい成果のカテゴリになるには、時間、人材、DataOpsの考え方を企業全体に浸透させる努力が欠かせません。すべての人が参加し、すべてのデータの利用者がデータを基に行動につなげられるように、データは人間がわかりやすい形で提示する必要があります。
パン生地を発酵させるように、企業全体でデータを育て、すべての人が利用できるようにしてください。データを活用する組織を作ろうとするための取り組みがデジタルトランスフォーメーションには不可欠であることは、時が証明してくれるでしょう。DataOpsの世界では実行するのか否かなのです。