2021年は産業界にとって大きな転換点となっています。
それでは2021年に産業界で初めて起こった10の出来事をみていきましょう。
1. 気候変動対策技術への投資額が過去最高を更新
PwC社の調査によると、気候変動対策技術(climate tech、クライメートテック)に取り組む企業への投資が2020年比で210%増加し、過去最高の875億ドルを記録しました。2021年前半の平均投資額においても4倍近くの9600万ドルに達しています。
2. 気候変動に対する最大のコミットメント
2021年のCOP26(第26回 気候変動枠組条約締約国会議)では会議の1週目だけで4つの大きな発表がありました。アジェンダでは石炭、気候変動ファイナンス、メタン、森林破壊が優先項目とされ、メタンに関する宣言では目標達成を早める可能性があるとして最も注目されました。メタンに関する宣言には100カ国以上が署名し、2030年までにメタン排出量を30%削減することに合意しました。
3. 産業界でのクラウド導入の急拡大
O’Reilly社の調査によるとクラウドの導入率が上がっています。2020年の同社の調査ではクラウドの導入率は88%でしたが、2021年には90%にのぼり、2022年には多くの企業でアプリケーションのクラウド化がさらに進むと指摘されています。O’Reilly社は、クラウド化を進めるにあたって、柔軟性、拡張性、信頼性に加え、コストも大きな要因であるとしています。
4. 製造業で予想以上の回復
Deloitte社の最新の見通しによると、パンデミックの甚大な被害にもかかわらず、企業は事業の立て直しに真剣に取り組み、製造業は急速に回復しています。同社は、労働問題やサプライチェーンにおいて歴史に残るほどの問題が発生している時期に、ポジティブな経済指標が出るのは異例であり、まだ注意すべき要因があると警告しています。しかし、すべての兆候は、デジタル化と急速な技術革新によって、製造業がこれまでにない回復を実現することを示しています。
5. 世界初の水素燃料発電所の承認
イギリスは積極的な脱炭素化戦略を掲げていて、炭素の回収と貯蔵技術を備えた国内初の発電所を建設するためにEquinor社とSSE Thermal社の協力を得ることになりました。そこで作られる水素は青色(ブルー)かもしれませんが、2030年までにますますグリーンな国になるための大きな一歩です。
6. アメリカ、初の大規模洋上風力発電所を承認
バイデン政権は風力発電がアメリカの未来に寄与するとし、国内初の商業用洋上風力発電所を承認しました。マサチューセッツ州マーサズ・ビンヤード島沖に84基のタービンを設置し、800メガワットの発電能力が見込まれています。
7. 欧州では風力発電のための初の人工島建設を承認
2021年は風力の年でした。アメリカでの取り組みに加え、デンマークでは北海に初の人工島を建設し、洋上風力タービンのハブとすることが承認されました。この「エネルギーアイランド」構想は世界初の試みで、1000万世帯にエネルギーを供給できるとされています。
8. 気候変動対策でのShell社に対する歴史的な勝利
このようなケースは他に例をみません。2021年、環境保護団体や活動家はRoyal Dutch Shell社が排出量削減に十分取り組んでいないとして訴えました。裁判官は訴えに同意し、オランダのハーグの裁判所は、石油・ガス大手の同社に対し、2030年までに温室効果ガスの排出量を2019年のレベルを基準として45%削減するよう命じました。
9. 再生可能エネルギーコスト、過去最安を記録
再生可能エネルギーの価格は予想以上のスピードで安くなっています。2021年半ばに国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は集光型太陽熱発電で16%、陸上風力発電で13%、洋上風力発電で9%、太陽光発電で7%コストが低下したと発表しました。IRENA事務局長のFrancesco La Camera氏は公式に再生可能エネルギーを最も安い電力源とするとしています。
10. 欧州で好調の電気自動車、ついにディーゼルを上回る
2021年9月は電気自動車業界では記録的な月になりました。欧州電気自動車レポート(European Electric Car Report)によると、欧州では電気自動車の販売が急増し、ディーゼル車の販売を上回りました。この状況を単なる例外とする意見と、新しい乗り物の時代の幕開けとする意見がありますが、トレンドは明らかです。新しく購入される車のうち電気自動車の割合は確実に増えています。