昨今、社会インフラ設備や、製造業の生産設備のデジタル化に向けて点群データの活用が検討されるようになってきています。また、自治体などでもデジタルツインの実現に向けて点群データの活用が検討されています。
本記事ではそのような流れを踏まえ、今さら聞けない点群データとは?からその取得方法、製造業や自治体における活用事例までを紹介します。
では、まずそもそも点群データとはどのようなデータなのでしょうか?
点群データとは、位置情報(正確に言えば、空間座標(x,y,z))と色情報を持った点の情報を集めたデータとなります。
単なる点と異なるのは、各点が位置情報と色情報を含んでいるということなのです。
これらを取得したいインフラ設備やプラントなどの工場設備において後述する方法にて取得し、任意の形式においてデータ化したものが点群データとなります。
では、なぜ点群データの活用が昨今検討されるようになったのでしょうか?
それには昨今のテクノロジーの発展とデジタル化の必要性によって、下記のような点で活用にメリットを感じられる様になったためです。
みなさんがご存知のように、社会インフラ設備や製造業の生産設備は日本の高度経済成長期に建設されたものも多くが利用され続けており、老朽化が進んでいます。
しかし、それらの設備の更新や保全のために必要な図面などは紙で管理されていたために、3DのCADデータが存在しておらず、利用できるデータが存在していないことがあります。
そのため、現在の設備から最新の状態をデータ化する必要があります。
点群データは後述のような方法で比較的容易に取得できるようになったために、点群データの活用を検討されるようになりました。
各業務の危険度を下げ、効率化を行うためにも点群データは必要とされています。
例えば、点群データは位置情報を保有しているため、取得してしまえば実際の測量業務を代替する事が可能となります。また、ドローンや車載機器としてなど様々な取得方法が取れるようになったため、人が現場に立つ機会を極力減らしながら、安全性を確保しつつ必要なデータを取得することも可能となりました。
例えば、道路における測量で、72%の時間の削減を達成可能※であるという紹介をしている例は道路という危険な場所での作業を減らし、効率化も行うことができる例と言えるでしょう。
※出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/85/3/85_228/_pdf/-char/en
「3次元点群データを活用したインフラ構造物の維持管理」精密工学会誌 Vol.85 No.3 2019
では、そのように利便性の高い点群データですが、どのように取得するのでしょうか?
点群データは主に3Dのレーダースキャナーによって取得されます。
3Dのレーダースキャナーは毎秒100万本をこえるレーザー光線を照射し、その反射を活用することで表面の僅かな凹凸も捉えることができるなど、高密度の計測を行うことが可能です。
以前は固定式のレーダースキャナーが主流だったので、同じ機器に対してでも、何度もスキャナーの配置を変えてすべての角度からデータを取得できるように作業を行う必要がありました。
しかし、昨今では車両やドローンに搭載して移動しながらデータの取得ができるレーダースキャナーもあるため、遠隔地や危険な場所における安全な取得も可能になり、取得にかかる日数も減る傾向にあります。
さらに、皆さんのお持ちのiPhoneでも取得可能かもしれません。
LiDAR機能を持っているiPhone13 ProやiPad Proではアプリケーションを活用すれば点群データを取得可能です。一部無料のアプリケーションもありますので、ぜひお試しください。
ご興味のある方はこちらの記事もご覧ください
では取得した点群データはどのように活用されているのでしょうか?
ここでは、製造業の点群データ活用事例と自治体での点群データ活用事例を紹介します。
製造業の活用事例では、事前に作成した点群データを用いたデジタルツインの作成、仮想空間での作業計画の策定が挙げられます。
工場などの設備では、機材の搬入などが必要となりそのための作業計画などを策定する必要があります。その際には機材のスペース検討なども必要となり、点群データによる正確な測量が作業計画の効率化に貢献しています。
静岡県の事例がみなさんの記憶に新しいかもしれません。
静岡県でも「VIRTUAL SHIZUOKA」という取り組みで、点群データを活用したデジタルツイン環境を作成、インフラ領域での活用や防災に点群データを活用しています。また、実際の災害時の状況把握のために、過去の点群データと最新の点群データを比較し、流出した土砂量の測定や、流出する可能性のある土砂量の推測などにも活用されています。
参考:「静岡県が⽬指す「VIRTUAL SHIZUOKA構想」とは?」
Cogniteの製品と点群データを組み合わせると、どのように点群データを活用できるのでしょうか?
例えば電力業界の方向けには、点群データとオブジェクトの分類するモデルを組み合わせて活用、設備管理計画の策定効率化が可能です。下記のデモでは、点群データからモデルによって木々や建築物を判別し、電線に影響を及ぼす可能性のものがあるかどうかを判別しています。
ご興味のある方は、下記のデモをご覧ください。
(電力業界における点群データとCognite製品の活用例)
その他にも、プラントを運営されている石油化学などの製造業の方向けには、弊社アプリケーションであるCognite Remote内で点群データが活用いただけます。
先述のように、アプリケーション内にて作業に必要なスペースの確認が可能なことに加え、デジタルツインとして、CADデータなどと組み合わせ、必要な設備のリアルタイムデータなどの閲覧も可能となります。
下記の点群データを活用したデモもぜひご覧ください。
(製造業における点群データとCognite製品の活用例) (製造業における点群データとCognite製品の活用例) (製造業における点群データとCognite製品の活用例)