ビジネスを真に変革する取り組みにおいて産業向けDataOpsが極めて重要な役割を果たすことが、お分かりいただけたかと思います。現在の課題は、貴社のビジネスをサポートするために産業向けDataOpsソリューションにどのような能力が必要なのかを定義することです。このセクションでは、提案依頼書(RFP)を作成し、成功に必要なすべての能力と機能を確実に説明するためのガイドラインを示します。
このガイドラインでは考慮すべき主な領域を示しますので、組織のニーズに合わせて枠組みを構築する際のたたき台としてご使用ください。考慮すべき課題を質問形式で示します。これらの課題の一部またはすべてをソリューションプロバイダー候補に直接提起することも、内部の評価手段として使用することもできます。
単一のソリューションではデータのすべての課題は解決されないため、産業データの潜在力を引き出す上で欠かせない適切な能力について、組織を調整する必要があります。
産業向けDataOpsソリューションの提案依頼書(RFP)作成時に考慮すべき事項
ユースケースと過去の成功例
何よりもまず、産業向けDataOpsは、組織に長期的な価値をもたらすことができなくてはなりません。そのためには、組織の目標とソリューションプロバイダー候補の能力とを擦り合わせる必要があります。ソリューションプロバイダーにドメインでの能力が十分にあると知ることで、期待されるROIを達成する可能性が高まります。
ソリューションプロバイダー候補の評価に役立つ質問:
- 貴社の概要、産業の事業分野、主要な製品/サービス、関連の専門知識、ビジネス戦略を手短に説明してもらえますか。
- 貴社の製品/サービスは一般的なものですか、それとも関連の産業に固有のものですか。貴社のドメインの専門知識について説明してもらえますか。
- 主要製品の差別化について説明してもらえますか。
- クライアントのビジネスケース構築と目標とするROIの達成をどのように支援した経験がありますか。ビジネスケースの提供に成功した例を挙げてもらえますか。
専門家によるヒント: 産業向けDataOpsソリューションを成功に導くには、作業開始前に定義されたユースケースから1つまたは2つを選んで始める必要があります。初期のユースケースで成功を収めた後は、さらに2~5件のバックログへと移ります。
- 提案されたソリューションによってアセット管理はさらに効果的になりますか。例を挙げてもらえますか。
- クライアントのユースケースを解決するために、機械学習のソリューションはどのように適用されていますか。ハイブリッドのAIソリューション(物理的機能とMLの機能の組み合わせ)を使用したユースケースを紹介してもらえますか。
- 非構造化データ(ビデオ、3Dなど)に関して提供されたユースケースには、どのようなものがありますか。
- 提供されたユースケースの中で最も一般的なタイプのものを教えてください。
- 相談できるリファレンスカスタマーはいますか。
- 製品デモを見せてもらえますか。
機能
産業向けDataOpsのソフトウェアを正しく評価するには、基盤と接続性という2つの要素を理解する必要があります。基盤の評価は、提案されたソリューションが産業データのユースケースをサポートし、価値実現までの時間を最小化するために必要なツールを提供し、スケーラビリティと再現性を最大化することを保証する上で、極めて重要です。
接続性には、データ抽出とアプリケーション層の2つの要素があります。データ抽出機能では、現在と将来の両方のデータソースに接続できる必要があります。アプリケーション層が焦点を当てるのは、ソリューションプロバイダーがユースケースを提供するために、基盤に加えてアプリケーションをどのようにサポートするのかという点です。
ソリューション候補の評価に役立つ質問:基盤
- このソリューションでは、どのようにデータのコンテキスト化(データマッピング)が実行されますか。それは自動ですか、それとも半自動ですか。このソリューションでは、識別と構築を容易にするための関係が提案されますか。
専門家によるヒント: 理想的なソリューションであれば、このプロセスをできるだけ自動化していなければなりません。そうでない場合は、新しいデータソースを含めるようシステムを手動で拡張しますが、そうすると非常に時間がかかり、管理も難しくなります。
- コンテキスト化(データマッピング)のプロセスはどのように管理されますか。アクセスは容易ですか。
- ユーザーはどのように編集を行いますか。
- 提案されたソリューションでは、データモデルはどのように作成されますか。管理対象のデータソースどうしはどのような関係になっていますか。
- 提案されたソリューションでは、どのようなタイプのデータフォーマットがサポートされますか。
- 提案されたソリューションでは、データの視覚化をどのようにサポートしていますか。
- 提案されたソリューションでは、データの品質をどのように管理していますか。ルールは事前に構築されていますか。ルールは変更できますか。ルールは全体的に適用されますか、それともユースケース単位で適用されますか。
専門家によるヒント: データモデルは再利用されるように設計されます。データの品質には、ユースケース単位で適用できる柔軟性が必要です。たとえば、異なるユースケースに同じデータが必要なことがありますが、このデータをアセットのリモート監視に使用すると、同じデータでパフォーマンス測定の分析モデルを実行する場合と更新頻度を同じにする必要はありません。
- 提案されたソリューションでは、テンプレート化はサポートされますか。適用される作業はどのように再利用できますか。
専門家によるヒント: テンプレート化はソリューションをスケーリングするための主要な要素であり、組織がPoC地獄に陥るのを確実に回避します。
- データおよび管理者に関連付けられたユーザーに関して、提案されたソリューションで通知/メッセージはどのようにサポートされますか。スケーラビリティに関して、ソリューションはどのような評価を得ていますか。
専門家によるヒント: 初期のユースケースから拡大するときに、スケーラブルなソリューションが必要になります。産業向けDataOpsは、現場と企業の両方のレベルでのスケールに対処できます。