こうした課題をうまく克服するには、非常にニッチなソフトウェア(個々の石油・ガスポンプの制御システムなど)と企業全体のプロセスを調整・管理するハイレベルなソフトウェア(エンタープライズアセットマネジメントシステムなど)の組み合わせが必要です。
一例として、個々のポンプに最適なメンテナンスを予測するモデルの開発があります。ここでは、サプライチェーン、リソース、リスクの相互依存性を考慮し、ポンプの出力によって、エンタープライズアセットマネジメントシステム(EAM)内で関連するタスクの自動作成がトリガーされます。産業にはこうした潜在的な改善点がたくさんあり、関連するコンテキスト化されたデータをリアルタイムのオペレーションとリンクさせることで改善できます。
テクノロジー、データ、自動化プロセスのこのような融合を全体として捉えることが、インダストリー4.0(第4次産業革命)のコンセプトの中心です。 こうした改善を大規模に処理するために必要なインフラストラクチャの中心にあるのが、産業向けDataOpsです。
さまざまなアプリケーションに対してデータドリブンの改善の開発、スケーリング、管理を確実に行うには、効果的な産業向けDataOpsが絶対に必要です。
産業向けDataOpsの機会
最初に、機会がどこにあるのかを簡単にご説明します。産業の核となる推進要因は生産です。つまり、石油・ガスの採取と処理、発電と送電、商品の製造などが考えられます。
スループットの最適化は、生産量と生産品質(生産物が原材料ではないとき)の両方の観点から非常に重要です。スループットの最適化にはアセットと装置が必須であるため、必然的に、これらのアセットのメンテナンスがスループット向上とコスト削減の重要な手段の1つとなります。したがって、メンテナンスプログラムの主要な目標は、アセットライフサイクルの観点での稼働時間の最大化とコストの最小化です。生産の最適化とメンテナンスはどちらも、産業向けDataOpsのアプローチを用いてデータドリブンの改善を行うのに適した主要な領域です。
現場作業員の効率的な管理は、産業向けDataOpsを用いた改善の機会のもう1つの主要な領域です。多くの場合、現場の実務者は装置のメンテナンスとアセットのメンテナンスを区別しており、ここでは、別々の専門家が適切な優先順位付けとリスクアセスメントを保証し、この2つの計画の立案を行っています。
目標は変わらず、最小の生涯コストで生産への悪影響を最小限に抑えることです。このプロセスを最も端的に表しているのは、装置のオイル交換か、手すりの防食処理かに関係なく、何らかのタスクが現場の担当者によって実行されるということです。
生産の最適化、メンテナンス、現場作業員の効率と同様に、サプライチェーンも産業向けDataOpsが変革をもたらす領域に含まれます。弊社は、(特定の産業における)投資計画の立案と実行に加え、地下の石油・ガスに対する探査、掘削および坑井建設、貯留層の領域を追加できます。
産業向けDataOpsが約束するのは、データドリブンによる改善を展開するペースの向上です。これには、全アセットにわたる個々の改善のスケーリングが含まれます(対象のアセットが装置を表しているか、より大規模な設備を表しているかは関係ありません)。それでは、データ対応のユースケースと、そのユースケースのサポートに必要なデータオペレーションについて、実際の例を詳しく見ていきましょう。
重要なアセットの長寿命化とサービス時間の削減